2012年7月31日火曜日

Children of the Night by Wayne Shorter

ウェイン・ショーターのメッセンジャーズもののなかで一番好きな曲のひとつ。

ABAの構成なのだが、B部分がコード的にはなかなかに暴力的。
普通の4ビートのはずだが、怪しい雰囲気が心地良い。

素敵な曲だし、自由度も高いと思うのだけど、目の前で聞いたことはない。

彼の曲はとらえどころがなく、特にトランペットではどうアプローチしていいのかわからないのだけれど、いつしかステージで演奏してみたいものだ。

メッセンジャーズのアルバムThree Blind Miceからどうぞ。



2012年7月29日日曜日

Ojos de Rojo by Cedar Walton

シダー・ウォルトンの有名曲をもう一つ。

Ojos de RojoはRed Eyesという意味だそうです。それでも謎が残りますが。

すでに完成された曲なので、営業用にはやりやすいものの、ここからスタートして新しいところに行くのは難儀すると思います(そうならオリジナル曲をやったほうが良い)。バンドのインタラクションでさりげなく聞かせるのがアプローチかなと思います。

ジャズ研が手本とするために作られたんじゃないかというような演奏からどうぞ。
これ日本人の企画なんでしょうか?

Fantasy in D / Ugetsu by Cedar Walton

シダー・ウォルトンのジャズ・メッセンジャーズ時代の作曲。
もともと『雨月物語』から着想を得たということでUgetsuとタイトルをつけていたが、わかりづらかったのか、後にFantasy in Dというタイトルを得た。

Boliviaのときもそうなのだが、コードがころころ変わるところとAがずっと続くところがあり、速さの関係でどっちもどっちでつらい。音を敷き詰める以外を考えたいところ。

トランペットでこの曲を最も演奏したのはフレディ・ハバードだと思う。こちらもすぐに演奏の様子が見つかるのでどうぞ。
今回はシダー・ウォルトンとボブ・バーグによるカルテット演奏をご紹介します。

2012年7月28日土曜日

吉岡かつみトリオ@バンドワゴン下関

下関バンドワゴンで吉岡かつみさんのトリオ演奏を聞きに行く。

吉岡かつみ(pf)
Dizzy吉本(Ba)
山本陽子(Dr)

吉岡さんはセロニアス・モンクがお好きで、第一部ではトリビュート曲を演奏された。セットの趣味も私にとってストライクゾーンで楽しく聞けました。熱くキレのある演奏で、ただのゴリゴリではないので聞き疲れしない(コントロールをしっかりしていたり、リズムを外さないところなのでしょうか)。勉強になります。
吉本さんがこの店のオーナー。ラインはもちろん、いわゆるベースがやってしまいそうなアドリブではなくちゃんと歌から出てきているのがいいなあと思っています。ドラムスの山本陽子さんは何度か拝見してますが、今回は特に音が前に出てきて聴き応えがありました。

第2部はセッションということで、一緒に演奏させていただきました。

Softly, as in a morning sunrise
Body and Soul
Wave
I'll close my eyes
Moanin'
A Night in Tunisia
Bolivia
Now's the time

後でいろいろとお話する機会があった。プロ・アマ問わず、自分より音楽のことを考えて音楽を愛する人はいないと思っているのだが、吉岡さんの音楽愛には負けたかなあ、と思った。

まだやりたいことが十分にできていない。楽に楽器が吹けるように今後も精進いたします。

ありがとうございました。

2012年7月27日金曜日

Pablo de Caracas by Nicolas Folmer

Nicolas FolmerのアルバムFluide収録のナンバー。

カッコイイです。

オリジナル曲でトランペットのワンホーンって、毒にも薬にもならないスタンダードナンバー集くらいしか流通してないかもしれませんが、いくらでも可能性があります。

そのためには、テクニックも曲も充実してないといけないんでしょうが。

こういう演奏が目の前で聞けるならトランペットのジャズも人を集められるんじゃないでしょうか。

2012年7月26日木曜日

Well You Needn't by Thelonious Monk

モンクの曲の中では取り組みやすいほうかな。
ただコードは単調だし、ブリッジの半音で上下するところをどう処理するかは考えどころ。

Chet Is Backというアルバムにも収められていて、チェット・ベイカーのバージョンも興味深い。
Nicolas Folmerの演奏でどうぞ。



2012年7月24日火曜日

La Mesha by Kenny Dorham

ケニー・ドーハム作のバラード。

Joe HendersonのPage Oneが流行ったと聞いているが、なぜこの曲がスタンダードにならなかったのか疑問だ。

20小節のスローナンバー。コード進行などをたどるとコルトレーンあたりのイメージがあったのではないかと推測する。

ケニー・ドーハムのアドリブは元テーマをかなり感じさせるほうだと思う。そして独特の音があるからロングトーンだけでも聞かせる。スピーディに吹くところは無理を感じさせない。

こういう曲でトランペットがどういうふうに吹けばいいか、ケニー・ドーハム先生が切り拓いてくれていると思う。ほら、コルトレーンだったら、とかウェイン・ショーターだったら、という想像はしやすいじゃないですか。トランペットだとパラパラと吹けないから同じ発想では難しいと思うわけです。

Trinkle Tinkle by Thelonious Monk

トランペットで吹けというのはかんべんしてくれシリーズ。
しかし世の中広いもので果敢に挑戦する方はおられるんですね。

モンクの曲のなかでも難解だとおもいます。まだ消化できてないので 当面は吹けないけれど、気が向いたら吹くことがあるかなあ。

初演の時、この楽譜を見せられて吹けといわれた共演者たちはどういう表情をしていたのか。モンクの考えてることだから信じようかと思ったのだろうか。



2012年7月21日土曜日

New York Attitude by Kenny Barron

ケニー・バロン作のバップナンバーになるのだろうか。

彼の作品として以前ご紹介したVoyage同様、トラディショナルなスタイルでもう少し新しさを加えたものになっている。

New York AttitudeはAABAのナンバーで取り組みやすい。テーマのリズムセクションのキメさえ確認しておけば演奏できそう。

管楽器バージョンとケニー・バロントリオの2つの演奏をどうぞ。前者は例によってトム・ハレル先生のプレイが冴えます。



Woody Shaw plays Round Midnight

こんなトラックもあるんですね。

ウディ・ショウ先生は何を演奏してもウディ・ショウ。
音色、タンギングなんかから他と違う。

このラウンド・ミッドナイトもギル・エヴァンスのアレンジのやつだが、どこからどう聴いてもマイルズ・デイヴィスは出て来ません。

2012年7月19日木曜日

Chick Corea and Gary Burton play Radio by Steve Swallow

ゲイリー・バートンとチック・コリアのアルバムDuetより。

めまぐるしく変わるコードではあるがまとまりのある一曲になっている。
作曲者のSteve Swallowにはこういう曲が多い。曲によっては暴力的と思えるような展開をすることもある。いずれ紹介することになるだろう。

このデュオは何枚もアルバムを出すほどの組み合わせである。チック・コリアの歯切れのよいピアノとビブラフォーンの響きとの対比が独特の間合いを生んでいると思う。

さすがの私もトランペットでこの曲に挑む気はないが、和音を嗜む方はゆっくりのテンポでこの曲の動きを感じ取っていただきたい。

Groovesharkという、サンプル音源などを収集したサイトからどうぞ。

http://grooveshark.com/#!/s/Radio/3g9S85?src=5

All the things you are 2題

Tom Harrell 先生とMarvin Stamm先生による、ピアノとのduo。
トランペッターに限らずすべての管吹きは必見です。

Marvin先生の方は、アドリブプレイについての説明が興味深い。

聞くことに取り憑かれる(addicted)のはジャズを演奏するためにはとてもよいプロセスであると語っている。

Tom 先生は言わずもがな。こういう歴史的プレイは正しく残されるべきだと思いますが。

All the things you areは、著作権の保護期間が終わっているはずなので、自分で演奏したものを遠慮せずに公開できる。



2012年7月17日火曜日

Le chateau de Guillaumes by Nicolas Folmer

ニコラ・フォルメルの代表曲の一つ。「ギヨームの城」。
勝手な想像だけど、フレンチバラッドって感じがします。
そんなに難しい和音の展開はしないので、彼の曲の中では取り入れやすい。

この8月にドラムスのダニエル・ユメールとの共同プロジェクトの新譜も出るそうなので楽しみです。ただ日本ではいつ入手可能になるか。

2012年7月16日月曜日

Nardis 2題

有名なナルディスであるが、実質ビル・エヴァンスの曲ということでピアノトリオで演奏されることが多い。

ビル・エヴァンスの曲をトランペットで吹いている例はあまりない。いつかVery EarlyとかBill's Hit Tuneなんかを余裕たっぷりに吹きたいと思うのだけど、いつになることやら。

トランペットではこのチェット・ベイカーのようにゆっくり演奏するのがよいかもしれない。自分だけの感じ方かもしれないが、この曲はとても都会的な響きを持っているとおもう。バリバリハードバップって感じで吹かない方向で考えたい(が吹いているうちに頭に血が上るのよね)。



The Lawn by Carla Bley

トランペットでは絶対に演奏できない曲、少なくともテーマに絡めと言われたら困る。
サックスなんかは、キースのカントリーみたいな入りで途中から参戦できそうだ。
ミュートでも使うかね。

こういう曲はテンポとノリを合わせるのが肝だと思う。


カーラ・ブレイとスティーブ・スワローによるDuoでどうぞ。
曲も演奏もスウィートです。ひたすら美しいだけでなく、どこかしらユーモアがある。

なお彼らのウェブサイトで楽譜を見せてもらうことができます。

Art Farmer plays Stablemates by Benny Golson

アート・ファーマーもトランペッター以外にはほとんど聞かれることはないかもしれないが、自分の吹き方、トランペットの吹き方を持ったジャズ・ジャイアントである。
高音を多用しない、速い曲でもタイム感が強く感じられる、などお手本とすべきところがたくさんある。 ド派手ではない分なおさら良いですね。


Stablematesはベニー・ゴルソン作のオリジナル。テンポキープさえしっかりできればなんてことはないはずなんですが。目先の転調に惑わされないようにしっかりコード進行を確認しておくといいかもしれない。

2012年7月13日金曜日

Paul Desmond and Chet Baker play Autumn Leaves

広大なインターネットの海からこんなところを見つけてしまったあなたならご存知でしょうが、枯葉の名演を今一度。

チェット・ベイカーとポール・デスモンド、いずれもアドリブの名手です。
ただ単に8分音符を並べるだけでは音楽にはならないことが痛いほどよくわかります。

2012年7月12日木曜日

Arturo Sandoval plays There will never be another you

どスタンダード。

アルトゥーロ・サンドヴァルの演奏。
リラックスした感じが非常に良い。息が詰まらない。頭ではウケルとわかっていても、バリバリしたトランペットの音はめざしていないからかな。

それほど特異なことをしているわけではないと思うが、 リズムに乗せて軽やかに吹いている。凄みが目立つわけではないけれどすっごい技術です。

多分ブルーススケールのような気がするのだが、歌い方がブルースを思い出させる。、

同曲には他に、ウディ・ショウにも名演があるのだが、またネット上で紹介できれば。




2012年7月11日水曜日

Pannonica by Thelonious Monk

ジャズを語るに2語しか要らない。Thelonious とMonkだ。

そこまで言い切る自信はない。むしろ、ジャズではなくセロニアスミュージックである、となら言えるかもしれない。

モンクの曲は一筋縄ではいかない。

私自身の感性なので大いに笑っていただいて結構だが、ジャズの曲や編曲について、あんまり手の込んだものは歌じゃなくてジャズオタク趣味の「作り物」だと思い、すくなくとも自分でやろうとは思わない。

モンクの曲は、作り物と歌のすれすれくらいに感じている。 なにか自分が歌えるものがあるんじゃないか、と思う。絶妙な角度なのだ。

モンクの演奏についてはザ・スウィングであり、セロニアスミュージックであり、ジャズである。言うまでもない。

反面、コルトレーンのジャイアントステップスは演奏できたら楽しいだろうけどジャズを知らない人が聞いてて楽しいと思ってもらえるのか自信がない。

御託が過ぎたが、Pannonicaである。当時のジャズパトロンに捧げた曲。
曲の構成はAABAだがラストAは9小節である。
コードはそれほど難しくはないが、部分ごとでなく全体とかコーラス単位でアドリブをとるのは特に難しい。
トランペットで演奏してる人は見たことない。だから特に挑戦すべき曲だと思う。

2012年7月10日火曜日

Estate by Bruno Martino 2題

文字通り「夏」の曲。
いろんなキーで演奏されたり、単純な繰り返しでないため、打ち合わせが必要な曲かもしれない。

ウディ・ショウのIn My Own Sweet Wayは購入してもう15年近くになるが、いまだにお手本になるアルバムである。ここではトランペットワンホーンでの演奏が聞ける。夏の海のような広さが想起される。
ただ、録音は1987年の2月だそうです。私は『ニューヨークの秋』が大好きなんだけど、季節を選ぶ気がしてなかなかコールする勇気がありません。



次にこの曲を有名にしたミシェル・ペトルチアーニの演奏を。彼は何回かこの曲を取り上げている。このバージョンはスタンダードなトリオにシンセが入っているかな。周りがなんだろうとペトルチアーニのピアノは縦横無尽だ。
どこまでも突き抜けていく。
彼の死を未だに受け入れることができない。

2012年7月8日日曜日

月例 Session at Porche 湯田

今月も湯田のポルシェにてセッション。もう4年近くになるんですね。

今日は演奏する人が多く、また皆さん楽しんで演奏されているのが大変素晴らしい。締まった演奏も多く充実していたと思います。

私が演奏したのは
Solar
Star Eyes

と声をかけていただいて
Confirmation

ミュージシャンズセッションという感じで
Girl From Ipanema
Straight No Chaser
以上でした。この2曲はこれでいいとおもいます。

以下一人反省会。

トランペットの技術面でできてないのは、高い音から低い音に移った時潰れて聞こえるところがひとつ。唇を振動させることに注意を払いすぎて余計な力が入り、マウスピースの中に唇が崩れてしまう。音の出だしは相変わらず不安定で、力まずに吹くことが鍵だ。インターバルのあるフレーズを吹かなければならないのならその練習が必要だ。

毎回難し目の曲を一曲はお願いしているんだけど、その際は自分がリズムや雰囲気などつくって強力にリードしないといけない。そのあたりの図太さはまだ足りてない。あるいは曲の理解が十分ではないということだな。

扁桃炎の後遺症か、聞き耳の左の調子はよくないままだったが、得るものは多かった。また一ヶ月修行しよう。

2012年7月4日水曜日

Pensativa by Clare Fischer

クレア・フィッシャー作曲による佳曲、というよりはアート・ブレイキーのジャズ・メッセンジャーズの演奏で有名といったほうがいいだろう。

AABAの曲なのだが、各パーツが長いので、スケールに慣れ十分アイデアを練ってから勝負したい。

Pensativa とはpensive woman (物思いに耽る女性)という意味だそうだが、ジャズ・メッセンジャーズの方しかしらないと、どこが?と感じるはずだ。ブライアン・ブロンバーグ(下のトラック)のものを聞いてもらえば、その落ち着いた曲想が得られるだろう。

2管編成にしても、アート・ブレイキーに操を立てる必要はなく、タイトル通り夏の気だるさを爽やかに演奏する方が面白いかもしれないと思う。



Thermo composed by Freddie Hubbard

テーマがお祭りみたいでいいですよね。
コードはいまひとつつかめない感じです。

楽譜(The World's Greatest Fakebook)で見てみると、フラット6つでした。
大変そうです。

2012年7月3日火曜日

High Wire composed by Chick Corea

「おしゃれなジャズ」で営業、しかも準備時間が十分取れるとき、となると、大学のジャズ研向きの曲かもしれない。

ちゃんとジャズなのだけれどチック・コリアらしいコード展開がしてあって楽しい。

いい曲なんだけど、ここまで曲が完成していると、他人の褌を借りて演奏している感じがして、あんまり気乗りしない。やりこまないと自分たちらしく演奏できないかな。

チャカ・カーンのヴォーカルでどうぞ。

2012年7月1日日曜日

Art Pepper plays Autumn Leaves

私はトランペットを吹くのだけれど、最初にジャズの影響を受けたのは2人のアルトサックス奏者、ポール・デスモンドとアート・ペッパーである。ひねた性格なのが災いしてか、あんまりテナーサックスジャイアンツを聞かない。

アート・ペッパーのアルト・サックスからは人の声がする。
聞こえてくるソロも、その場でつくったのだろうけれどぐっと音楽的で、細かいスケールにこだわってしまうと絶対に出てきそうにない、曲全体だとかアドリブ全体とかいう大きな単位で見ても耐えられるものになっている。

有名な枯葉も彼の手にかかり落ち着いたナンバーになった。