2012年10月24日水曜日

Nigerian Marketplace by Oscar Peterson

私はあんまりピアノトリオは聞かない方だ。というよりは、世の中の人はピアノトリオくらいしか聞かないのではないかと思う。

オスカー・ピーターソンの作曲のこの曲は、どのへんがナイジェリアなのかがよくわからないが、ベースソロによるテーマの提示から解決へと展開し、ジャズの曲として新鮮な響きを残す。

これはトランペットで吹いてもいいのではないかと思う(こういう発想でしか聞いてない)。そのためにはソフトにメカニカルに吹けなければならないだろう。


In Your Own Sweet Way by Dave Brubeck

ブルーベックというとTake Fiveが有名なのだが、演奏家から最もよく取り上げられる曲はこっちだろうとおもう。

コードで分析すれば2-5の積み重ねで、理屈上難しいところはない。テンポに惑わされずテーマを見失わずに音楽を作る、というのが今のところの私の基本姿勢かな。言うは易きだが。

マイルズ・デイヴィスの演奏が有名だが、あえてブルーベック4tetの演奏を。この演奏では、コードの森に入り込んでどこかに迷い込んでしまった(もちろん意図的に)、という展開をめざしたのだと思う。批判も多いブルーベックのピアノだが、このトラックはそのような挑戦を感じる。

ポール・デスモンドの音、ゆったりとしているが正確なリズムのフレージングは見事で、何度も言うがトランペットで彼のような音を出すことが生涯の目的のひとつである。



Karaguchi Kazuyuki plays This I dig of You

先日おじゃました88nelsonのセッションで、サックス奏者の近藤タケユキさんが演奏された曲。


Hank Mobley作曲のバップナンバーということになるだろうか。とてもハッピーな曲想で、きめがある程度決まっているので、演奏も引き締まる。大学のジャズ研でこういう曲をやっておくと演奏の作り方の参考になる。

A(16小節)-A'(16小節)の32小節。細かい分析をすれば、Aの11~12小節から13~14、15~16小節で半音コードがずれるところはしっかり慣らしておく必要がある(特にトランペットは)。同じフレーズを半音下げて演奏するのもやりすぎたらつまんない。曲全体からフレーズを考えないといけないだろう。

唐口一之さんのプレイでどうぞ。
この演奏を見て先のリップベンドとかピッチの幅の話を思い出しました。




2012年10月22日月曜日

Nicolas Folmer plays You Must Believe in Spring

ミシェル・ルグラン作曲のバラード。

小節数は、8-8-10。同じモチーフを少しづつ発展させていくんだけど、コードが半音下がるところと全音下がるところがあって、きっちり覚えて準備しておかないと大変なことになる。鍵盤や弦楽器は指の位置をスライドさせればすむかもしれないが、大多数の管楽器はそうもいかない。漫然とスケール練習をやってもだめで、しっかりスケールの音を聴きこんでおかないとだめだということか。


Nicolas Folmerはミシェル・ルグラン曲集のアルバムを作り、彼の曲をレパートリーとする。このトラックではブルース的な響きも援用しつつ、熱く歌い上げている。彼のトランペットは自由で、トランペットはまだまだ可能性のある楽器だということを知らせてくれる。

彼ならペトルチアーニのトリビュートアルバムを作ってくれるかもしれない。


2012年10月18日木曜日

トランペットの練習について - ウォームアップとベンディング

ジャズをやるまえに楽器が上手に吹けなければいけない、というのに気づいたのがつい最近で、やっと基礎練習に本格的に取り組むようになった。謙遜ではなく、トランペットの腕は小学生並と言えば小学生に対して失礼なレベルです。

私は正規の教育を受けたものではありませんので、以下の練習方法にも問題があるかも知れません。

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ウォームアップから基礎練習までルーティーンを決めている。

ビル・アダムスの最初のロングトーン
タンギング(T=100,120) シングル・ダブルタンギング
スケールとリップスラー(『朝練』から)
それからクラークのtechnical studies

時間的余裕があれば、スタンプやチャールズコリンのAdvanced Lip Flexibilitiesなど。

練習曲としてアーバンを少しづつ練習している。特に付点8分や跳躍など、クラークで直接出てこないものを取り上げている。

最初のタンギングは舌の位置や力の抜けを確認したり、低い音でのダブルタンギングがクリアに出来ることが目標。低い音のダブルタンギングが高めの音と同様にできないというのは、奏法に問題があるということだと理解している。


また、右手の指に余計な力が入りスムーズに動かせていない。クラークでは#2の実音lowGとAからのものが苦手で、薬指に気を取られると中指や親指に力が入ってしまう。自分の場合ゆっくり確実に吹くことで、出だしや息の流れなどとのコンビネーションのなかで脱力を心がけている。


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最近ベンディングを取り入れて楽に吹けるようになってきたと思う。

ベンディングとは、ピストンを押さずにピッチを変える、例えばトランペットソ(開放)の指でファ#を吹くというもの。これプレスし過ぎだと絶対にできない。そして、単にピッチを合わせるだけではなくしっかりトランペットとして鳴るポイントを探すことで、唇だけでなく口周りや喉・息の流れなどがどうあるべきかを経験できる。


私の場合、これによって自分がプレスしていることを客観的に見ることが出来、ある程度コントロールし、低音域がドッペルアンブシュア気味(低い音を吹くときに不必要に唇に隙間を開けること)だったのが改善されてきたと思う。

ジェイムス・スタンプのウォームアップアンドスタディにもあるような、音が下がる時には上昇しているように、とまではいかないが、音が下がった時にあまり下がったと意識せずに息を流して吹くことが出来るようになってきた。

Trumpet Exercises
http://www.trumpetexercises.net/exercisegroup:bending


2012年10月7日日曜日

Bill's Hit Tune by Bill Evans

ビル・エヴァンスというと、スコット・ラファロとポール・モチアンとのトリオが先ず出てくる。グルーヴ感さえあっていればベースはもっと自由に動けることを示したし、日本人好みの品の良い「ワルツ・フォー・デビー」などという曲もある。
しかし、ビル・エヴァンスは生涯通じてピアニストであり、聞くべき作品は非常に多い。そして、彼はスタンダードのカバーだけでなく作曲も多く行なっている。

Bill's Hit Tune はそのひとつである。それこそ、ワルツ・フォー・デビーあるじゃんと思ってしまう。なぜこのタイトルにしたのかは不明。曲はちょっとクサイくらいの展開をするのだが、哀愁を感じさせる彼らしい作品だと思う。

いずれエヴァンス特集ををトランペットでやってみたいと思っている。キーも音域もトランペットでは想定外なのだが、それゆえに独特のものが得られると信じる。
今のうち、少しづつ掘り起こしておくこととする。